エアコンを購入する時、家庭用エアコンの国内シェアはどのメーカーがトップなのか、気になる方もいるのではないでしょうか。実際にエアコンを選ぶ際、メーカーの数が多すぎてどこが人気でどのような特徴があるのかがユーザーに分かり難いのが実情です。
実際、エアコンなんて安ければメーカーは気にしないという人や、性能さえ満足すればそれで大丈夫と考える人も少なくないでしょう。反対に、エアコンの性能や機能が良く分からないから、とりあえずメーカーで選びたいという人も一定数いるのも事実。
エアコンをメーカーで選びたい人、参考までにシェアはどこが大きいのかを知りたい人のために実際の市場シェアを紹介します。また、簡単に各メーカーのエアコンと特徴も紹介するので、少しでもモデル選びなどの参考になればと思います。
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家庭用エアコンのメーカーシェア
家庭用エアコンのメーカーというと多くの国内メーカーが思い浮かぶかと思います。日本を代表する家電メーカーのパナソニック、三菱電機、日立、シャープ。世界的空調メーカーのダイキン。その他にも、富士通ゼネラル、アイリスオーヤマ、コロナなど日本のエアコン市場はまさに戦国時代とも言える状況になっています。
長々語るよりも、まずは実際のメーカーシェア率を見て頂ければと思います。2023年における量販店POSデータ(販売実績)を元に、日本国内市場でのエアコンメーカーシェアを下記に示します。
※2023年(5月~10月)の量販店販売実績によるもの。
国内のエアコンシェアは上記グラフの通り。多くの日本メーカーが拮抗した状態であることが分かるかと思います。一部、ハイセンスのような海外メーカーもありますが、ほとんどが日本国内の家電メーカーです。逆に言えば、海外メーカーが入る余地が無いほど、日本はエアコン大国であるとも言えるのではないでしょうか。
また、これらのメーカー以外にもその他メーカーで10%以上のシェアがあります。これだけ多くのメーカーがエアコン事業に参入している現状です。エアコンは環境的な負荷が少なく、クリーンな空調機器であることから今後も市場規模は拡大していくことと思われ、更に多くのメーカーが国内外問わず参入していくことと考えます。
改めて、メーカーシェアをランキングにすると以下の通り。
1位 ダイキン(18%)
2位 パナソニック(15%)
3位 日立(13%)
4位 東芝(11%)
5位 三菱電機(9%)
6位 富士通ゼネラル(7%)
7位 シャープ(6%)
8位 コロナ(5%)
9位 三菱重工(1%)
10位 アイリスオーヤマ(1%)
11位 ハイセンス(1%)
シェアから分かるエアコンメーカーの人気ランキング
エアコンの国内シェア率の大きさは人気度の表れとも言えます。つまり、ユーザーが選ぶエアコンの人気ランキングと言い換えることができます。
その考えに基づけば、2023年の家庭用エアコンの人気ランキング1位はダイキン。2位はパナソニック。3位が日立製作所になります。
- 1位 ダイキン
- 2位 パナソニック
- 3位 日立
これら3社ともテレビCMで大々的にエアコンを売り出していますし、家電量販店のエアコンコーナーに行けば数えきれないくらい豊富なラインナップを用意されています。安価なボトムクラスモデルから、高性能かつ高機能なハイスペックモデルまで、幅広く展開しています。
ただ、トップ3社でメーカーを独占している訳でも無い為、毎年のようにランキングは変動します。おそらく翌年のメーカーシェアは今回の結果とは異なるものになることが予想されます。実際のところ、ダイキンとパナソニックが2トップであることはここ数年変わりません。
各エアコンメーカーの特徴を紹介
各メーカーの特徴を簡単にまとめると下記のような感じ。同じメーカーのエアコンでもモデルによって機能が異なるので一概には言えませんが、主だった特徴として挙げています。
メーカー | 主な特徴 |
---|---|
ダイキン | 世界的シェア。除湿も加湿も換気もできる |
パナソニック | ナノイーによる除菌。除去したホコリは自動で屋外へ排出 |
日立 | 凍結洗浄で内部を清潔に保つ |
東芝 | UV除菌。空気清浄。無風感空調が可能 |
三菱電機 | ムーブアイなどセンサーによるコントロール |
富士通ゼネラル | ハイブリッド気流による温度ムラ低減 |
シャープ | プラズマクラスター。COCORO AIRでトータルサービス |
コロナ | ボトムクラスに強い。冷房専用エアコン |
三菱重工 | ナノミストイオンで空気清浄。JET運転。 |
アイリスオーヤマ | Wi-Fi機能搭載。低価格帯。 |
ハイセンス | 解凍洗浄で内部洗浄。立体気流。 |
ダイキンは除湿も加湿も換気もできる
ダイキンは家庭用エアコン、業務用エアコン合わせて国内のシェアNo.1。他の国内メーカーと比較すると価格は少し高めですが、世界的空調メーカーという肩書きの通りの品質と性能を有するエアコンです。
室温調整のみならず、加湿、除湿、換気まで備えたエアコン「うるさらX」を筆頭に、2023年新発売の「risora」という業界最薄185mmを実現したスタイリッシュなエアコンが特徴です。エアコンで空調しながら換気もしたいという人は多く、換気できるエアコンは現状ダイキンとパナソニックの2社しかありません。(※日立と三菱は別売ユニットで排気だけできます)
24時間365日対応してもらえるサポートがあるのも魅力の一つ。いつでも気になる時にメーカーに相談することができるのは有難いです。シェアを見れば拮抗していますが、個人的にはエアコンでダイキンに適うメーカーはいないと思います。迷ったらダイキンのエアコンを選んでおけば問題なしです。
パナソニックはダストボックスの手入れが不要
パナソニックは家庭用エアコンで長年国内トップクラスのシェアを維持しています。ルームエアコンはEoliaという商品名で親しまれています。パナソニック独自の技術であるナノイーを使って空調と同時に菌やウイルスを除去できるエアコンが特徴。ダイキンと同じく換気できるエアコンとしても強みがあります。
フィルターの自動お掃除ロボットは、フィルターから除去したホコリをそのまま屋外へ排出することができ、ダストボックスをメンテナンスする必要がありません。他にも専用アプリと連携して使用状況などをリアルタイムで確認できるのも魅力です。
日立は凍結洗浄で内部を清潔に保てる
白くまくんを代表とする日立の家庭用エアコン。日立エアコンは内部洗浄を得意としていて、清潔さを重視する人におすすめです。
内部洗浄機能は凍結洗浄を行います。凍結洗浄は熱交換器を熱した後に凍らせて溶かすという技術で、高温で汚れを剥がしてから一気に洗い流します。他メーカーの内部洗浄は結露水を使った洗浄なので十分に洗い流せない懸念があります。また、国内エアコンで唯一、内部のファンを自動でブラッシング掃除するお掃除機能が採用されています。
東芝は風を出さない無風感空調
東芝エアコンの特徴は除菌、空気清浄、無風感空調の3つ。UV除菌ユニットを搭載したことでエアコン内部の熱交換器にUV照射を行って除菌することができます。
さらにプラズマ空清の静電気によって集じんしたホコリや汚れにUV照射を行って菌を抑制。空気清浄だけでの運転も可能なので、花粉や菌、ウイルスなどに対して一年中活躍します。快適機能には無風感空調という機能があり、エアコンが吹き出す風が苦手な人でも快適に過ごせるよう、無風で空調運転します。
三菱は赤外線センサーのムーブアイ
三菱のエアコンと言えば霧ヶ峰。エアコン市場の中でもトップクラスの性能と実績を有するシリーズで、5年連続で省エネ日本一に輝いています。
ムーブアイという名の赤外線センサーはほぼ全機種に搭載されていて、赤外線で室内の温度分布を可視化して自動で調節してくれます。2023年には、脈のゆらぎから快適かどうかを判断を推定して自動運転するエモコアイが追加されました。センサーによる自動制御にこだわる人には三菱エアコンが断然おすすめです。
富士通ゼネラルはハイブリッド気流で温度ムラを低減
nocria(ノクリア)という商品名で認知されている富士通ゼネラルのエアコン。フィルターを自動で掃除する機構を世界で初めて採用したのが富士通ゼネラルです。これまでのフィルター掃除の常識を覆し、ダストボックスに溜まるホコリを捨てるだけでフィルター掃除の頻度が大きく減らせる画期的なものでした。
一番の特徴はデュアルブラスターによるハイブリッド気流です。エアコン室内機の両側に可動式の送風口が搭載されていて、温度と風速が異なる2種類の気流によって温度ムラを減らすことが可能です。
シャープはプラズマクラスターで除菌と消臭が可能
シャープは全シリーズのエアコンにプラズマクラスターを搭載。空調と同時にお部屋の空気をキレイにすることに強みがあります。Airest(エアレスト)という空気清浄機を搭載したエアコンも発売。「空気清浄機と呼べる、唯一のエアコン」として訴求しています。
また、AIを活用したエアコンのクラウドサービス機能「COCORO AIR」も魅力と一つ。AIが天気や好みに合わせた運転を自動でコントロールしてくれるもので、生活パターンを学習したり、見守り機能が搭載されていたりとこのサービス一つでエアコン周辺の情報を一括して管理できます。
コロナはボトムゾーンが低価格
コロナのエアコンは大手家電メーカーに比べて全体的に価格が安いのが特徴。機能や性能においては他メーカーに若干劣る部分が多いですが、特にボトムクラスのリーズナブルな価格には需要が集まっています。冷房専用エアコンという珍しいモデルがラインナップされているのも魅力の一つです。
一般的なルームエアコンの他にも、工事不要で窓に設置することができるウインドエアコンも扱っており、壁に穴を開けたくない人にも選ばれています。大手家電メーカーのエアコンがラインナップしない商品ゾーンをしっかりカバーされているのがコロナのシェアが比較的高い理由だと言えます。
その他|三菱重工、アイリス、ハイセンス
シェアは大きくありませんが、三菱重工のエアコンもあります。エアコンで三菱というと三菱電機のことを指しがちですが、三菱重工としてもビーバーエアコンという名で高性能なエアコンを販売しています。
アイリスオーヤマにもエアコンはあります。アイリスのエアコンはやはり価格の安さが人気で、高価格帯ゾーンではほとんど勝負せず、あまり余計な機能を搭載しないシンプルなエアコンを安く売ることを特徴としています。
唯一、日本国外のメーカーとしてハイセンスの名前が入っています。ハイセンスは中国の巨大家電メーカーの一つで、テレビが主力商品ではありますがエアコンも日本向けに販売しており、大手メーカーと比べて安く購入できます。
高性能かつ高機能なモデルゾーンを狙う大手家電メーカーと、それ以外のボトムクラスゾーンを狙うメーカーの二つに分かれていることが分かります。
エアコン市場の動向について
2022年の家庭用エアコンの国内出荷実績は914万6千台で、合計金額は7910億円にもなります。(参考データ:JRAIA冷凍空調工業会-自主統計)その年の暑さによってエアコンの売れ行きは大きく変動しますが、地球温暖化が進む中で今後エアコン市場が縮小するということはまず考えられません。
家庭用エアコン自体は半世紀も前からある成熟した空調家電になりますが、化石燃料の使用を削減する流れができたことから、冬場の暖房機器としてもエアコンを使用する家庭が増加してきました。エアコンは二酸化炭素を排出することもなく、エネルギー効率も高いことからエコで省エネに貢献できるとして需要が高まっています。
地球温暖化、脱炭素社会といった世界的情勢のもと、世界的にもエアコンの市場規模は今後も維持および拡大していくと思います。
まとめ:エアコンの国内市場はまさに戦国時代
エアコンのように、半世紀にも渡りこれだけの家電メーカーが競い合ってシェアを奪い合い拮抗している状況は、他の家電製品には無いと思います。毎年のようにシェアランキングが入れ替わり、国内トップシェアをうたっていたメーカーが翌年には同じように訴求できなくなることも珍しくありません。
エアコン市場自体は成熟されていますが、出荷台数からも分かるように縮小することは現段階では考えられません。国内メーカーのみならず、ハイセンスなどの安い海外メーカーが台頭してくることも予想され、一層競争が激化していくのではないかと考えられます。今後のシェアの変動に注目していきたいものです。