ポータブル電源で全ての家電が使える訳ではないことはご存知でしょうか。ポータブル電源は一概に全ての家電が使える訳ではなく、使用する家電に応じたポータブル電源が必要になります。深く考えずに適当にポータブル電源を購入した場合、使いたい家電が全く動かないというケースもあります。その為にチェックしなければいけないポイントや見分け方を紹介。どんなポータブル電源でどんな家電が使えるのか例を挙げて紹介します。
ポータブル電源とは
ポータブル電源とは、大容量かつ高出力な充電池です。家庭用コンセントなどから充電することで、好きな場所に持ち運んで電源として使用できます。スマホやタブレットの充電用として知られるモバイルバッテリーの大容量版というイメージです。
ポータブル電源のメリット
- 電源が無い場所で電気を使える
- ACコンセントが使える
- 災害時に役立つ
電源が無い場所で電気が使える
ポータブル電源を持ち運ぶことで、アウトドアやレジャーなど電源が無い屋外でも電気を確保することができます。近年ブームとなっているキャンプにおいても、食材の調理や暖房など電化製品を使いたいシーンで活躍します。車中泊する際でも、車のエンジンを切ったまま電気が使えるので、エンジン音やガソリンの減りを気にせず便利です。
また、在宅勤務やリモートワークが増える中で、自宅の中でワークスペースの確保が難しいケースも多いです。スペースがあっても電源が無い場所では仕事はできません。そういった電源確保が難しい場所でも、ポータブル電源があればパソコンやその他機器の電源として使用できます。
ACコンセントが使える
ポータブル電源は、自宅にある家庭用コンセントと同じACコンセントが使用できます。出力さえ満たせば、家庭で普段使用している家電製品をそのままポータブル電源で使用することが可能です。スマホ用の小型モバイルバッテリーではUSB端子としか出力できません。その為、電源として使用できる電化製品が非常に限られます。
加えて、ポータブル電源はACコンセント以外にも多数の出力端子を設けらています。USB出力やシガーソケットまであります。出力の種類はモデルによって異なりますので、ポータブル電源を選ぶ際のポイントにもなってきます。
災害時に役立つ
地震などの災害時にも役立つとしても注目されています。災害時に伴って起きがちなのが停電です。停電すれば自宅にいても電気を使うことができないので、非常に不便な思いをしてしまいます。しかし、停電しててもポータブル電源があれば、一定時間であれば電気を使えます。スマホの充電やライト、簡単な調理など最低限の生活が可能となります。
他にも、災害によって避難所に避難しなければならない際にも活躍します。避難所では緊急用の電源が用意されていることもありますが、避難者の人数が多いと全員が好きに電気を使える訳ではありません。スマホを充電するにも列に並ばなければいけなかったりするケースもあります。ポータブル電源は持ち運びもできるサイズでもあるので、避難時にも重宝するでしょう。
また、災害時に活躍する防災対策家電として、暖房器具を下記記事でまとめています。併せて参考にしてみてください。
ポータブル電源のデメリット
- 定格出力を超えた家電は使えない
- 充電しなければ使えない
- 大容量なモデルほど本体が重い
定格出力を超えた家電は使えない
ポータブル電源は機種によって定格出力が異なります。その定格出力よりも大きい消費電力の家電は使用することはできません。つまり、全てのポータブル電源でどんな家電でも使えるという訳ではありません。家電をポータブル電源に繋いで使いたい場合は、その家電の消費電力はいくつなのかをチェックする必要があります。
充電しなければ使えない
ポータブル電源は発電機ではないので、充電しない限りは使用できません。アウトドアやレジャーで持ち出す際には、予め家庭用コンセントから充電しておく必要があります。充電にもある程度の時間が掛かるため、遅くても出発する時間の数時間前から充電しておかなければいけません。ソーラーパネルなどで太陽光から発電できる機種もありますが、太陽光発電は効率が悪いので、太陽光だけで一から充電するのは現実的ではありません。あくまで補助的という認識でいましょう。
大容量なモデルほど本体が思い
ポータブル電源は機種によって容量の大きさが異なりますが、容量が大きくなればなるほどポータブル電源本体の重さもおもくなります。5kg程度のコンパクトなものから、中には20kg以上もする機種もあります。重ければ重いほど持ち運びがしにくくなるので、容量と重さの兼ね合いがポータブル電源を選ぶ際のポイントにもなります。
発電機との違い
ポータブル電源と発電機は違います。発電機はガソリンなどを燃料としてモーターを回転させることで電気を起こします。その為、燃料があれば電気が切れることはありません。対して、ポータブル電源はあくまで蓄電池です。バッテリーなので電気は消費すればいずれ無くなります。よって、長時間の使用は発電機の方が優位です。
しかし、発電機にもデメリットがあります。それは燃料が無ければ発電することは不可能ということ。蓄電することはできず、予め電気を充電しておくこともできません。また、発電機は車のエンジンなどと同じように騒音や排気ガスが出ます。その為、室内での使用は難しいというのもデメリットです。対するポータブル電源は騒音もしなければ、もちろん排気ガスも出ません。室内やテント内などで使用するにはポータブル電源に軍配が上がります。
ポータブル電源で使える家電の見分け方
それでは本題、ポータブル電源で使用できる家電はどのように見分けることができるのでしょうか。ポータブル電源で使うことができる家電を見分ける際、まずは使用するポータブル電源の『定格出力』と『瞬間最大出力』がいくつなのかチェックしましょう。この定格出力が見分ける際の基準となります。
参考までに、ポータブル電源で有名なメーカー2社の機種ごとの定格出力は以下の通りとなっています。
Jackery | 定格出力 | 瞬間最大出力 |
---|---|---|
ポータブル電源 2000 Pro | 2200W | 4400W |
ポータブル電源 1500 | 1800W | – |
ポータブル電源 1000 | 1000W | 2000W |
ポータブル電源 708 | 500W | – |
ポータブル電源 400 | 200W | – |
ポータブル電源 240 | 200W | – |
Anker | 定格出力 | 瞬間最大出力 |
---|---|---|
Anker 757 Portable Power Station | 1500W | 2400W |
Anker PowerHouse II 800 | 500W | 1000W |
Anker 535 Portable Power Station | 500W | 1000W |
Anker PowerHouse II 400 | 300W | 600W |
Anker 521 Portable Power Station | 200W | 600W |
Anker PowerHouse 200 | 100W | – |
Anker PowerHouse 100 | 100W | – |
一般的な家庭用のコンセントが1500Wまでなので、定格出力1500W以上のポータブル電源であれば、家庭のコンセントで使用している家電は全て使うことができます。消費電力が大きい家電の代表であるドライヤーや電気ストーブなども、1500W以上のモデルであれば通常通り使用できます。
ポータブル電源で使用できるかどうかは、次に家電の消費電力を知る必要があります。
家電製品の消費電力を調べる方法
家電製品の消費電力は、製品の裏面や側面に記載されていることがほとんどです。
シール等で型式や生産国などと一緒に定格消費電力が記載されています。日本メーカー製であれば、基本的に日本語で「定格消費電力:○○○W」とそのまま表記されています。
仮に、海外メーカー製で消費電力がどれか分からない場合でも、「INPUT」という表記で記載されているので探してみましょう。また、「消費電力○W」で表記されていない場合、「電圧(V)」と「電流(A)」が記載されています。その場合は電圧と電流を掛け算した値で消費電力になります。
ポータブル電源で使える家電の例|出力ごとに紹介
実際にポータブル電源で使用できる家電はどのような製品か、出力ごとに実例を挙げてみてみましょう。ここでは、アウトドアなどで使うシーンが想定される家電に絞って取り上げます。
また、下記に取り上げる製品は、平均的な消費電力をめやすとして振り分けています。機種によって消費電力は異なりますので、あくまで参考程度として見ていただければと思います。
100W以下で使える家電
- スマホ充電
- パソコン
- 扇風機/サーキュレーター
- 音楽用スピーカー
- 照明/ライト
- 電気毛布
- ポータブル冷蔵庫
ポータブル電源の定格出力が100Wであっても、リモートワークや在宅勤務などで仕事する上で必要な家電はほとんど一通り使えます。扇風機やサーキュレーターなどファンを回すだけの家電はほとんど20W以下で動きますので、100Wのポータブル電源でも難なく使用できます。
参考までに、キャンプでポータブル電源で使う扇風機についても紹介しています。気になる人はチェックしてみてください。
500W以下で使える家電
- 冷蔵庫
- ハンドミキサー
- ヘアアイロン
- ホットサンドメーカー
- 小型炊飯器
- ホットカーペット
100W以下で使える家電はもちろん、定格出力が500Wであれば小型の調理家電やポータブル式の家電など使える幅が広がります。キャンプでちょっとした調理をしたい人などに適した出力です。
1000W以下で使える家電
- ファンヒーター
- コーヒーメーカー
- ホームベーカリー
- 電気ポット
- 電気プライヤー
500W以下で使える家電は当然ながら、1000Wのポータブル電源であれば調理家電や暖房家電などキャンプや車中泊で使えると嬉しいものもほとんど使うことが可能になります。電子レンジやオーブントースターなどの大きめな調理家電で機種によっては厳しいですが、さほど不便はしないはずです。
キャンプなどで使う電気ケトルについてもおすすめを紹介しています。気になる人は下記記事を参考にしてみてください。
1500W以下で使える家電
- ドライヤー
- 炊飯器
- オーブントースター
- 電子レンジ
- ホットプレート
- 掃除機
- 電気ストーブ
1500Wであれば家庭用のコンセントと同じですので、基本的に全ての家電が使用できます。電気ストーブやドライヤーなどヒーターを使う家電は消費電力が高いですが、それらも難なく使用可能です。
災害時の緊急用としてポータブル電源を購入するのであれば、定格1500W以上の機種を選んでおくと安心です。
ポータブル電源で家電を使用する際の注意
何かと多岐に渡り便利なポータブル電源ですが、家電を使う際には注意しておきたいポイントがあります。
AC出力の波形
ポータブル電源のAC出力には3種類の波形があります。正弦波・修正正弦波・矩形波のうち、家電を使用するのであれば正弦波のポータブル電源を使用することをおすすめします。
正弦波は純正弦波とも言われ、家庭用コンセントの電源は正弦波という波形の出力になっています。その為、多くの家電製品は正弦波で使用することを前提として作られています。つまり、ポータブル電源で家電を使用するのであれば、正弦波のポータブル電源を使用しなければいけません。
しかし、安価なポータブル電源では、修正正弦波(疑似正弦波)や矩形波というAC出力になっているモデルが多いです。これらの波形のAC出力で家電を使用すると、正常に機能しなくなったり故障に繋がる場合があります。中には修正正弦波でも問題なく使用できる製品もありますが、複数の家電を使用する可能性があるのであれば正弦波(純正弦波)のポータブル電源を選ぶことをおすすめします。
定格出力を超える家電の使用
繰り返しになりますが、お使いのポータブル電源の定格出力を超える家電を使用するのには注意が必要です。定格出力を超えた家電を使用した場合、多くは正常に動作しないだけです。ただ、家電製品の中には故障に繋がったり、不具合を誘発するもの可能性もありますので、定格以上の消費電力を要する家電を使うのは止めましょう。
家電を使うのにおすすめのポータブル電源
キャンプやアウトドア、リモートワークなどで家電を使いたい場合におすすめのポータブル電源を紹介します。高出力かつ大容量、AC出力が正弦波のモデルが最適です。
Jackery ポータブル電源1500
定格出力 | 合計1800W |
最大瞬間出力 | 3600W |
バッテリー容量 | 1534Wh |
バッテリーサイクル | 800回以上 |
AC出力 | 100V/18A |
周波数 | 60Hz |
重量 | 16kg |
横×奥行×高さ | 355×265×253mm |
Jackeryの人気モデル、定格出力1800W、1534.68Wh/426,300mAhの大容量を有するポータブル電源。高出力かつ大容量なので、調理家電の使用やキャンプで2泊や3泊する場合にもバッテリー切れを心配することなく使うことができます。
いつ復旧するのかが見えない停電など、緊急時でも活躍します。ファンヒーターやスポットクーラーが使用できる為、冬場から夏場までこれ1台あればもしもの時の備えになります。出力方法はAC出力の他に、シガーソケット、USB-A(1口QC3.0)、USB-Cと充実。モデル選びに迷ったら選んで欲しい一台です。
Anker 757 Portable Power Station
定格出力 | 合計1500W |
最大瞬間出力 | 2400W |
バッテリー容量 | 1229Wh |
バッテリーサイクル | 3000回以上 |
AC出力 | 100V/15A |
周波数 | 50Hz/60Hz |
重量 | 19.9kg |
横×奥行×高さ | 463×237×288mm |
モバイルバッテリーやUSBケーブルなどで有名なAnkerの大容量ポータブル電源。電池メーカーならではの特色を備えていて、他のポータブル電源と差別化されています。Anker 757 Portable Power Stationの特徴は、圧倒的な長寿命にあります。ポータブル電源の寿命を表すバッテリーサイクル数が、他メーカーの製品に比べて何倍も多いです。
フル充電して全て放電してを一回の使用とみなしますから、サイクル数3000回以上ということは毎日使用しても8年以上は保つことになります。寿命という意味で長く使いたい場合は最もおすすめのポータブル電源です。
JVCケンウッド ポータブル電源BN-RB10-C
定格出力 | 合計1000W |
最大瞬間出力 | 2000W |
バッテリー容量 | 1002Wh |
バッテリーサイクル | 500回 |
AC出力 | 100V/10A |
周波数 | 60Hz |
重量 | 10.9kg |
横×奥行×高さ | 333×234×244mm |
JVCケンウッドは日本の電機メーカーです。この大容量ポータブル電源は「防災防疫製品大賞©2021」の非常用電源部門で最優秀賞を受賞しました。Jackeryのポータブル電源をベースにした、日本メーカーとして安心で信頼できる品質を確保されたポータブル電源です。AC出力は純正弦波で、パソコンなどの精密機器や家庭で使うような家電製品まで安心して使用できます。
JVCケンウッドの魅力は購入後の手厚いサポートです。保証期間は24ヶ月、何か不具合や故障が発生した際に国内のサポートセンターによって迅速に対応できます。
まとめ
昨今のアウトドアブームや防災意識の高まりの中で注目を集めるポータブル電源ですが、電気や機械の知識が少ない人の中には、どんな家電も全てポータブル電源で使うことができると誤解している人も多いようです。家電に対する知識だけでなく、ポータブル電源の特性についても最低限理解する必要があります。必要な基礎知識だけでも本記事で知って頂き、ポータブル電源ライフを楽しんでみてはいかがでしょうか。
また、ポータブル電源以外にも、キャンプで使う石油ストーブを紹介しています。気になる人は下記記事をチェックしてみてください。
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