オーブンレンジは一人暮らしに必要なのか、それとも単機能電子レンジで十分なのか解説します。多機能で便利なオーブンレンジですが、その特徴と電子レンジとの違いを説明します。その上で一人暮らしにおける必要性を考えてみましょう。それでもオーブンレンジが欲しいという人向けに選び方とおすすめモデルも紹介します。
一人暮らしにオーブンレンジは必要か
オーブンレンジは一人暮らしに必要なのかどうかを考えてみます。学生時代から10年間一人暮らしをしてきた筆者が実体験と周囲の友人たちの意見を元に解説します。
結論
一人暮らしは、単機能の電子レンジで十分です。オーブンレンジは必要ありません。
オーブンレンジが欲しいという人は購入すれば良いですが、必要かどうかと言われれば大半の一人暮らしにとっては不要です。これは一人暮らしに限らず、単機能の電子レンジで用が足りる人がおそらく大半を占めます。
なぜ一人暮らしにオーブンレンジが不要なのか、その理由は宝の持ち腐れになるからです。
実際にオーブンレンジを所有していても、あたため機能しか使っていない人が非常に多いのが実情。せっかくの多機能オーブンレンジも、使い方は単機能電子レンジと同じになってしまいます。オーブンレンジは「欲しい人がだけが買えば良い」という家電です。必需品ではありません。
筆者自身もオーブンレンジを所有してから6年ほどになりますが、未だに「あたため機能」しか使っていません。男性だけでなく、一人暮らしの女性の方に意見を伺っても、自炊はするがオーブンレンジの機能を使いこなせていないという人がほとんどでした。一人暮らしを始める際に、最初はオーブンレンジに対する憧れや、自炊を頑張りたいからと意気込んで購入することも。しかし、実際に生活を始めてみるとあたため以外の使用頻度の少なさに気づく人が多いです。
オーブンレンジが向いている人
オーブンレンジが向いているのは、料理が好きで趣味としても楽しめる人や頻繁に自炊をする中で様々な調理方法に挑戦してみたい人です。単にあたためるだけでなく、オーブンとしてグリルのような調理もしたい場合には多機能オーブンレンジを選んでください。一人暮らしにもおすすめのオーブンレンジもあとで紹介しますので、参考にチェックしてみて下さい。
電子レンジとオーブンレンジの違い
そもそもオーブンレンジと電子レンジの違いが良く分からないという人も多いと思います。実際に購入するときになって何が違うのか調べる方が多いです。まずはその違いについて説明します。
オーブンレンジと電子レンジの違いとは
オーブンレンジと電子レンジの違いは、加熱方法と機能性です。基本的には加熱方法が異なるのが差異ですが、加熱方法の違いによって機能性にも大きく影響を及ぼします。その為、一般的には『電子レンジ=あたためるだけ』、『オーブンレンジ=多機能』という認識がなされています。
電子レンジの原理
電子レンジの原理は、電磁波を利用して食品の内側から温めます。電磁波によって食品の内部にある水分子を微細に振動させることで摩擦を発生し、摩擦によって生じる熱によって食品全体を温めます。その為、水分子を含まないような食品に関しては電子レンジで温めることはできません。
電子レンジができる調理方法は、基本的に「あたため」のみです。工夫次第によっては野菜の下処理や蒸すこともできますが、温める以外の機能はありません。スーパーやコンビニの弁当を温めたり、牛乳などの飲み物を温めたり、あるいは冷凍食品の解凍にも使用することができます。
電子レンジのメリット
電子レンジのメリットは、オーブンレンジと比較すると価格が非常に安いということです。
単機能の電子レンジであれば、一万円以下で購入できる商品も多いです。価格が安いが故に、一人暮らしには持って来いなのですが、オーブンレンジのような機能はありません。オーブン機能などを使いたいのであれば、価格的にも高いオーブンレンジを選ぶしかありません。
また、オーブンレンジは製品サイズが大きいですが、電子レンジは比較的コンパクトなものが多いです。キッチンスペースに余裕が無い場合など電子レンジの方が省スペースで設置可能なのもメリットと言えるでしょう。
オーブンレンジとは
オーブンレンジの原理は、ヒーターでレンジ内の空気を熱して対流する熱によって食品の外側から加熱します。加えて、電子レンジのように電磁波による温めも可能です。
オーブンレンジができる調理方法は、温めに加えて「オーブン機能」と「グリル機能」などです。オーブン機能であれば、対流熱によって食品をじっくりと蒸し焼きにすることが可能です。グリル機能では食材に直接的に熱を与えることで加熱して焼き上げます。
オーブンレンジのメリット
電子レンジに比べて、調理方法の幅が広がるのがオーブンレンジ最大のメリットです。食材や料理のメニューによって使い方を柔軟に変えられるのが便利です。オーブンはレンジ室内の温度を均一に保ちながら熱しますので、表面にムラができ難いのも特徴です。
過熱水蒸気を利用したスチームオーブンレンジでは、100℃以上に過熱した水蒸気を発生させることで通常のオーブンレンジよりも内部を早く温めることができます。更に余分な塩分や油分をカットすることでヘルシーな調理が可能となります。
オーブンレンジのデメリット
オーブンレンジのデメリットは電子レンジに比べて価格が高いことです。価格は機能の種類などによっても幅が広く、高いものは5万円以上します。学生の一人暮らしにはなかなか手が出ない金額だと思います。
また、本体サイズが電子レンジと比べてかなり大きい為、キッチンのスペースに余裕が無いと設置できません。他にも、機能が多すぎて使い方が分かりづらいというのもデメリットの一つと言えるかもしれません。
それでもオーブンレンジが欲しい人のために
電子レンジとの差やメリットとデメリットを考慮しても、やっぱりオーブンレンジが欲しいという人の為にオーブンレンジの選び方を紹介します。
オーブンレンジの選び方
設置スペースと本体サイズ
一番初めに、オーブンレンジを設置するスペースを把握する必要があります。商品を購入してから置けなかった、扉を開けるとぶつかってしまうなどのミスが無いように設置場所を決めましょう。冷蔵庫の上やワゴンなど設置場所を決めたら、設置面積と高さを測っておいてください。
注意したいポイントは、オーブンレンジは設置する際に左右と背面に放熱できる距離を空ける必要があります。壁や他の家電などから、目安として最低5センチは離すことを頭にいれておきましょう。離隔距離は商品によっても多少異なりますので、購入する際には取扱説明書をチェックしておくことをおすすめします。
庫内の容量
オーブンレンジは商品によって庫内容量が異なります。家庭用オーブンレンジの容量をざっくり分けると、20L未満・20~30L・30L以上の3つです。家族の人数や使用目的に応じて適した容量のオーブンレンジを選ぶ必要があります。
一人暮らしであれば、庫内容量は20L未満で十分です。容量が20L未満と言っても、最小でも幅450mm、奥行き350mm程度であり、一般的なコンビニ弁当がすっぽり置ける程度のスペースです。一人暮らしであれば、日常使用する中で特に不便はしないです。
庫内の容量が小さいほど本体の大きさも小さくなり、価格も比例して安くなります。よって、庫内容量は20L未満のオーブンレンジが一人暮らしには最適と言えます。
庫内形状
オーブンレンジの庫内形状は、「ターンテーブルタイプ」と「フラットタイプ」の2種類があります。ターンテーブルタイプは昔からある電子レンジの形状で、中にある丸いテーブル(下皿)に食品を載せるとクルクルと回りながら温めます。フラットタイプは庫内が平らになっていて、食品を載せたお皿を直接置いて温めます。オーブンレンジではフラットタイプが主流ですが、単機能電子レンジでは今もターンテーブルタイプが多いです。
一人暮らしに限らず、オーブンレンジはフラットタイプがおすすめです。フラットタイプは、庫内に丸いテーブルが無いのでスペースを広く使えます。四角い形状のコンビニ弁当も温めやすいです。また、フラットなので汚れを拭き取りやすくお手入れがしやすいというメリットがあります。
加えて、扉の開閉方向も違いがあります。ターンテーブルタイプは横向きに開閉するものが多く、フラットタイプであれば前向きに開閉するものがほとんどです。扉の開閉のしかたによっても設置スペースに影響しますのでチェックしておきましょう。
レンジの最大出力
オーブンレンジの加熱時間、加熱スピードは最大出力の大きさによって決まります。一般的なオーブンレンジは、最大出力500Wのものから1000W以上のものまで多岐に渡ります。
加熱時間は短い方が良い、早く温めたいという場合は最大出力が800W以上のものを選ぶことをおすすめします。最低でも600Wは無いと温めが遅いと感じるかもしれません。ちなみに、コンビニに設置されているレンジは業務用で最大出力1500Wなので、コンビニ弁当も20秒程度ですぐに温められます。
センサーの種類
オーブンレンジは庫内の状況や食品の状態を把握する為に複数のセンサーを搭載しています。代表的なものは、赤外線センサー、重量センサー、温度センサーです。モデルによっても異なりますが、湿度センサーなどもあります。多数のセンサーが搭載されていれば、自動で最適な加熱調理をすることができます。
あたためがメインであれば重量センサーが最適です。庫内の食材の重さから、加熱する時間や出力を自動的に調節することができます。焼き物がメインであれば、温度センサーが重要です。庫内の温度を適切な状態に保ち、生焼けや焼き過ぎを防ぐのに役立ちます。最低限、この二つのセンサーが搭載されていればオーブンレンジとして不足は無いでしょう。
オートメニュー
オートメニューとは、「トースト」や「飲み物」など食品の名前が書かれたボタンを押すだけで、自動的に最適なあたため方や調理をしてくれます。自分で温度設定や時間を決めなくて良いので手間が省けます。オートメニューの数はモデルによって様々なので、自分が良く使いそうな食品のオートメニューがあるかどうかをチェックしてみて下さい。
ただし、オートメニューの数が多ければ多いほど良い訳ではなく、自分自身が必要と思うメニューが搭載されているかどうかがポイントになります。オートメニューが多過ぎても、設定したいメニューのボタンを見つけるのに時間が掛かります。メニュー数が多い方が良い場合であれば、ボタンがごちゃごちゃしない液晶画面操作が可能なモデルを選ぶと良いでしょう。
一人暮らしにおすすめのオーブンレンジ
価格・機能性・使い勝手の良さから、一人暮らしにおすすめのオーブンレンジを選定して紹介します。オーブンレンジの選び方でも取り上げた項目をポイントとしてチェックしてみてください。
日立 MRO-F5Y(W)
本体サイズ | 幅470×奥行370×高さ310mm |
庫内容量 | 18L |
庫内形状 | フラット |
最大出力 | 950W |
センサー | 温度センサー |
オートメニュー数 | 37 |
日立のコスパ・機能・使い勝手が揃ったおすすめオーブンレンジです。最大出力は950Wで早くしっかり温めることが可能。オートメニューは37個も用意されていますが、頻繁に使う「飲み物・牛乳」や「コンビニ弁当」などはダイレクトキーとしてすぐに押しやすい設計となっています。他にも、炒め物や煮物まで多種多様なオート調理が可能です。迷ったらおすすめしたいオーブンレンジです。
アイリスオーヤマ MO-F1810
本体サイズ | 幅485×奥行376×高さ302mm |
庫内容量 | 18L |
庫内形状 | フラット |
最大出力 | 650W/500W(50Hz) |
センサー | – |
オートメニュー数 | 23 |
コスパと言えばアイリスオーヤマ。23種類のオートメニューからお好みのメニューを選ぶことができます。庫内はフラット形状でお手入れもしやすいです。操作パネルが最小限のボタン設定で使いやすく、シンプルなデザイン調なのも魅力的。1年前などの型落ちモデルも安くなっていることが多いのでチェックしてみて下さい。
東芝 ER-W16
本体サイズ | 幅461×奥行337×高さ293mm |
庫内容量 | 16L |
庫内形状 | フラット |
最大出力 | 850W |
センサー | 温度センサー、湿度センサー |
オートメニュー数 | 8 |
庫内容量16Lのコンパクトなオーブンレンジ。コンパクトでもコンビニ弁当はすっぽり入る大きさです。温度センサーだけでなく、絶対湿度センサーを搭載しているので安くても高精度な自動調理が可能です。オートメニュー数はそれほど多くないですが、逆に言えば必要なメニューのみを厳選して搭載しているのは評価が高いです。コンパクトさを重視する人におすすめしたいオーブンレンジです。
山善 YRP-F180V
本体サイズ | 幅485×奥行376×高さ302mm |
庫内容量 | 18L |
庫内形状 | フラット |
最大出力 | 650W(60Hz)/500W(50Hz) |
センサー | – |
オートメニュー数 | 18 |
2万円以下で購入できる格安オーブンレンジ。これだけ安いのにオートメニューは18種類と豊富に用意されています。フラットテーブルでお手入れのしやすさも文句なし。カラーリングはホワイトとブラックの2色展開。唯一の弱点は最大出力が少し低めな点ですが、それ以外の性能と機能性は価格を考慮すればコスパ最強と言えるオーブンレンジです。とにかく安い方が良いという人に絶対おすすめしたいオーブンレンジです。
ツインバード DR-E852W
本体サイズ | 幅470×奥行360×高さ295mm |
庫内容量 | 18L |
庫内形状 | フラット |
最大出力 | 600W(60Hz)/500W(50Hz) |
センサー | 赤外線センサー |
オートメニュー数 | 6 |
赤外線センサー搭載で自動あたためをおこなうオーブンレンジ。赤外線センサーが判別して自動で食品の種類に応じて最適なあたためができます。できるだけシンプルにというコンセプトで設計されているので、メニューボタンは必要最低限のみ。ダイヤル式操作で使いやすいのも特徴。バックライト液晶なので暗いところでも見やすくて、誰にでも使いやすいオーブンレンジです。
コンフィー CFM-CA181
本体サイズ | 幅485×奥行376×高さ302mm |
庫内容量 | 18L |
庫内形状 | フラット |
最大出力 | – |
センサー | 湿度センサー |
オートメニュー数 | 18 |
イタリアの家電メーカー「COMFEE’(コンフィー)」のオーブンレンジ。2万円以下で購入できますが、湿度センサーが搭載されていて、オートメニュー数は18も用意されています。メニューや時間の設定はダイヤル操作で使いやすさを実現。筐体がスタイリッシュでシンプルなデザインにも飽きず長く使えると思います。日本メーカーにこだわらない人にはコスパが良いのでおすすめです。
一人暮らしは単機能電子レンジで十分!
一人暮らしには基本的に単機能の電子レンジで十分です。多くの人はあたため機能しか使わないでしょう。それでもオーブンレンジが欲しい人もいるかと思いますので、一人暮らしにおすすめできるモデルを紹介させて頂きました。どうせ買うなら便利なオーブンレンジと考える気持ちも大いに分かります。なので、結局はご自分の予算と考え方で決めるのがベストです。電子レンジもオーブンレンジも使用頻度がかなり高い家電です。後悔の無い買い物をしてもらえればと思います。
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