石油ファンヒーターを効果的に使うポイントを紹介します。暖房器具の使用で気になるのが電気代や灯油代などのランニングコストではないでしょうか。節約したいからと言って寒さを我慢するのは賢くありません。そんな方の為に灯油代や電気代を節約しつつ、効率的にお部屋を暖房できる石油ファンヒーターのお得な使い方を解説します。
石油ファンヒーターのメリット
今ではエアコンや電気ストーブなど多種多様な暖房器具が溢れかえる中で、石油ファンヒーターはひと昔前からずっと根強い人気を誇ります。石油ファンヒーターの魅力やメリットはどこにあるのでしょうか。
速暖性
石油ファンヒーターの最大の強みが速暖性にあります。エアコンやセラミックファンヒーターなどの電気ストーブと比較すると差は歴然です。
石油やガスを使用した暖房器具は燃料を燃焼することによって得た熱量を暖房としますので、エアコンや電気ヒーターと比べて圧倒的な暖房能力を有することは言うまでもありません。運転を開始した直後から暖かい風を吹き出し、部屋中の空気を対流させながら暖房します。
寒い地域である東北地方や北海道では、石油ファンヒーターやガスストーブが強く支持されていることからも、暖房能力が高いことは明らかです。
加湿する
石油ファンヒーターは燃焼するのに灯油を使用しますので、暖房しながらお部屋を加湿します。灯油1Lの燃焼で1Lもの水がお部屋の空気中へ放出します。
通常、お部屋の温度が上昇すると湿度(相対湿度)は低下します。その為、暖房器具を使用して部屋が温まるにつれて湿度はどうしても下がってしまいます。エアコンやセラミックファンヒーターでは、通常の暖房運転で一切加湿しないので、部屋のn温度上昇に合わせて湿度の低下が顕著に表れます。
しかし、石油ファンヒーターやガスストーブでは暖房と共に加湿しますので、室温が上がっても湿度がなかなか下がりにくいです。新築住宅や賃貸物件では石油暖房器具の使用を控えるように言われますが、加湿することによる結露を懸念してのことです。
石油ファンヒーターが加湿する原理については他の記事で解説しています。気になる方はチェックしてみてください。
石油ファンヒーターにかかる費用
石油ファンヒーターは灯油を燃料として燃やす暖房器具なので、灯油代が掛かります。加えて、コンセントに繋いで運転制御しますので電気代も掛かります。つまり、石油ファンヒーターの使用に伴うランニングコストは『灯油代+電気代』です。
実際にそれぞれの費用はいくらくらいかかるのでしょうか。
灯油代
灯油の単価は、ガソリン価格と同じで情勢によって変動します。その為、灯油の使用量から灯油代を算出する際は現在の灯油価格を知る必要があります。また、地域や販売元によっても変わるので、ざっくり1ℓ当たり100円と考えておけば良いでしょう。
灯油の単価が分かれば、あとは石油ファンヒーターが使用する灯油の量を把握すれば1か月当たりの灯油代が算出できます。石油ファンヒーターの製品仕様欄には暖房出力(kW)と並び、燃料消費量(L/h)が表記されています。この燃料消費量が1時間当たりに消費する灯油量を示しています。
灯油使用量は、火力を弱めたり省エネ機能の使用によって節約することが可能です。詳しい内容は後の項目で解説します。
電気代
電気代は灯油とは異なり、地域や電力会社によって価格が定められていますので、大きく変動することはありません。
そもそも、石油ファンヒーターが使用する電力量は、他の暖房器具と比較すると非常に少ないです。ダイニチの石油ファンヒーターはコロナやトヨトミに比べて消費電力が高いので電気代も高くなりますが、それでも1か月当たりで1,000円ほどが目安となります。(ダイニチ;FW-3722SGX、最大火力で1日8時間使用の算出結果)
よって、お手持ちの石油ファンヒーターでランニングコストを節約したい場合は電気代の比重は少ないため、灯油代の節約に努める方が賢明と言えるかもしれません。もしくは、買い替える際に消費電力が少ないコロナやトヨトミの石油ファンヒーターを使用することが電気代の節約に直結します。
ダイニチ、コロナ、トヨトミの違いを別の記事で細かく比較しているのでチェックしてみてください。
石油ファンヒーターの効果的な使い方|節約術
石油ファンヒーターをお得に効果的な使用するために心得ておきたい3つのポイントがあります。これらは灯油の節約、電気代の節約の両方に繋がるポイントです。
- 暖め過ぎない
- 温度ムラを無くす
- 燃焼効率を維持する
このポイントを意識することで、どんな環境のお部屋でも石油ファンヒーターを節約して使うことができます。そして、これらを実現するためには、実際に何をどうすれば良いのかを説明します。
①窓際に設置する
石油ファンヒーターを窓際に設置するだけで、室内の温度ムラを減らして無駄な暖房を削減することができます。
窓は外気からの影響を最も受けやすく、冷気が部屋に侵入しやすい箇所です。窓から侵入してくる冷気を石油ファンヒーターが吸い込み直接暖めてから放出することで、部屋の中は温風として循環するので効果的です。
窓際以外の場所に設置した場合、窓からの冷気は部屋の中に侵入し床付近へ下降します。その時点で冷気として部屋に居座ることになり、場所によっては寒さを感じてしまいます。更に、冷気が流れ込むことで室温は下がり、無駄な暖房消費をしてしまうことにもなります。
また、石油ファンヒーターが吹き出す温風は、暖かい空気として上昇しやすい性質を持ちます。そのため、床付近に停滞している冷気を効率的に循環させることは難しいと言えます。それを解決するためにも、窓際に設置して直接暖めて放出することが最善策となります。
②サーキュレーターを併用する
扇風機やサーキュレーターを石油ファンヒーターと併用して空気を循環させることで、偏りやすい暖かい空気と冷たい空気を早く中和することができます。サーキュレーターは設置する位置によっても効果が大きく変わってくるので、置き方のポイントを紹介します。
サーキュレーターの置き方のコツ
サーキュレーターを石油ファンヒーターと併用する際の置き方にはポイントがあります。
・天井へ向けて送風する
・天井付近から下へ向けて送風する
ポイントとなるのは、暖かい空気は部屋の天井付近(上側)に溜まりやすいということです。いかに暖かい空気を上手く循環させるかが重要となります。
サーキュレーターを天井へ向けて送風することで、その風によって暖かい空気を分散することができます。また、天井付近などの上側にサーキュレーターを置き、下側へ向けて送風することも同様の効果を得ることが可能です。
ただし、石油ファンヒーターと併用する際に注意しておきたいのが、サーキュレーターの風を石油ファンヒーターに直接当てないということです。サーキュレーターの強力な送風が直接当たってしまうと、石油ファンヒーターの燃焼状態に影響してしまう可能性があります。サーキュレーターの風は直接当たらない向きで送風するように注意しましょう。。
③循環を妨げない
家具の配置などによって石油ファンヒーターによる空気の対流や循環を妨げないことも重要です。
石油ファンヒーターが吹き出す温風を部屋の隅々まで循環させるためには、障害物となる家具や置き物を避けると効果的です。特に広いお部屋ほど、石油ファンヒーターの温風が部屋の端まで届き難いため、少しでも温風が循環しやすい経路を作ってあげることがポイントになります。
④省エネ機能を使う
省エネ機能が搭載されている石油ファンヒーターであれば、通常運転よりも省エネ機能を使った方が灯油や電気代の節約に繋がります。
全ての石油ファンヒーターに搭載されている訳ではありませんが、多くのモデルには何かしらの省エネ機能が搭載されています。各メーカーによって詳細な運転制御は異なりますが、ダイニチは『ecoおまかせモード』、コロナは『新ecoモード』や『小部屋モード』、トヨトミは『エコモード』という機能名称で搭載されています。
これらの省エネ機能を使用することで、設定温度を自動的に下げたり、室温変化に合わせて無駄のないように火力を自動コントロールします。室温を上げ過ぎず、賢く快適に節約できます。
⑤空気取り入れ口を掃除する
石油ファンヒーターの背面にある空気の取り入れ口やフィルターをキレイに保つことも節約に繋がります。
空気の取り入れ口をキレイにすることで、石油ファンヒーターの燃焼に必要な空気を十分に供給することができ、理想的な燃焼状態を保持することができます。仮に空気取り入れ口やフィルターにホコリが溜まってしまうと、必要な空気量を確保することができず、燃焼効率が低下してしまいます。燃焼効率が低下すれば灯油の無駄な消費が増えてしまう可能性があります。
節約のためだけでなく、安全に使用するためにも定期的に取り入れ口やフィルターに溜まったホコリを掃除することをおすすめします。
石油ファンヒーターをお得に使って賢く暖かい冬を!
灯油やガソリン価格の高騰で、暖房器具の使用を少しでも減らしたいと考える方も多いかと思います。しかし、寒い冬を乗り切るためには、石油ファンヒーターは無くてはならない存在であることも事実です。
寒さを我慢して節約するのではなく、暖をしっかり取った中で灯油や電気代を賢く節約しながら使用していきましょう。
また、節約におすすめの使い方以外にも石油ファンヒーターについてまとめています。モデル選びなど気になる人は下記の記事を参考にしてみてください。