ダイニチの石油ファンヒーターを購入したいけど、どのモデルを選べば良いか分からない。
そんな人の為に、ダイニチの石油ファンヒーターの特徴に基づく選び方を解説します。
ダイニチは、石油ファンヒーター市場を牽引するメーカーのひとつですが、いざ購入しようと思うと機種が多くてどれを選べば良いか分からないという人も多いかもしれません。一番安いモデルを購入したら部屋の大きさに合わなかったなど失敗してしまうケースもあります。
この記事を読むことで、石油ファンヒーター選びで後悔しない買い方ができるようになります。
ダイニチの石油ファンヒーターの特徴
ダイニチの石油ファンヒーターは、市場シェアがここ数年トップクラスを誇ります。とはいえ、他のメーカーと比べて良い点ばかりでなくデメリットもあります。
メーカーごとに燃焼方式が異なる為、燃焼方式に由来したメリットとデメリットがそれぞれあるのです。デメリットをしっかり理解することが重要となります。
燃焼方式
ダイニチの石油ファンヒーターは、『ブンゼン式』という燃焼方式を採用しています。ダイニチの公式HPに記載されているイラストがとても分かりやすく説明されています。

ブンゼン式のイメージは、ガスバーナーと似ています。灯油を加熱して気化させ、気化した灯油をバーナーに吹き込むことで燃焼させます。気化ガスの量に応じて供給する空気量を調整することで、燃焼火力の大小を制御することができます。
ブンゼン式の最大の特徴は、「着火するまでの時間が早い」ということ。他の燃焼方式と比べて早く火が着く反面、消費電力が大きいという弱点もあります。また、着火したあとの燃焼中も常に高い電力を消費し続けなければなりません。
メリット(他社比較)
ダイニチの石油ファンヒーターを他社と比較した場合のメリットをまとめると下記になります。
- 着火時間が早い
- 本体価格が安い
- タンク容量が大きい
ダイニチ石油ファンヒーターの最大の強みは、着火時間が早いことです。運転スイッチを押してから最速35秒で着火します。ダイニチを選ぶ人のほとんどが、着火するまでの時間の早さに魅力を感じて購入しているようです。
本体の価格も他メーカーの石油ファンヒーターと比べると比較的安いです。前年モデルが型落ち品として店頭に安売りしているのを見たことがある人もいるかもしれません。ダイニチの安い機種だと、1万円以下で販売されていることもあります。
また、給油タンクの容量が9Lと大きいのも特徴です。18Lのポリタンクをちょうど2回で使い切ることができます。ただし、9Lタンクを満タンにすると、お年寄りや子どもが持つには重く感じるかもしれません。
着火時間や給油タンクの容量は、暖房出力や機種によって異なります。また、着火時間は使用する環境温度によっても変化します。
デメリット(他社比較)
ダイニチの石油ファンヒーターのデメリットをまとめると下記のようになります。
- 消費電力が非常に大きく、電気代が高い
- 運転時の音が大きい
- デザインがイマイチ
ダイニチの最大の弱点が電気代が非常に高いということです。燃焼方式の特徴によるため、今後も大幅な改善は難しいと考えられます。よって、これからもダイニチの弱点であることは変わらないと予想されます。
ちなみに、電気代の目安として他社のコロナ、トヨトミの同出力タイプで比較した場合、ざっくり計算しても1シーズンあたり数千円も電気代が高くなります。本体価格が安いですが、1シーズンで他社よりも総合的に費用が高くなってしまうのは大きなデメリット。
ダイニチの石油ファンヒーターは運転音が大きいのもデメリットで、これも燃焼方式に由来します。ガスバーナーに近いような燃焼であるので、運転時は「ゴー」といったような燃焼音が聞こえます。ただし、音については他メーカーとも大きな差は無く、意識して聞かない限り優劣は判断できないかと思います。
また、個人的な意見になりますが、ダイニチの石油ファンヒーターのデザインはちょっとイマイチかなと思います。SGXタイプなどの高級モデルは比較的デザインも良いですが、低価格帯モデルは自分の部屋に置くにも微妙かなという印象。見た目は人それぞれ感じ方が違いますので特に気にしなくて大丈夫です。
「目先の価格が安ければ良い人はダイニチ、長期的な費用を考える人はダイニチ以外」と言われることもあります
ダイニチの石油ファンヒーターの選び方ポイント
石油ファンヒーターを選ぶ際には、まず最初に使用する部屋の大きさを把握することが重要です。また、使用している中で自分が何に重きを置くかということを明確にしましょう。全ての石油ファンヒーターに共通する点になります。
- 暖房出力で選ぶ
- 本体価格で選ぶ
- 機能で選ぶ
暖房出力(kW)
石油ファンヒーターを選ぶ際、最も重要なポイントが使用する部屋の大きさに適した暖房出力を選ぶことです。
好みのデザインであったとしても暖房出力が自分の部屋に適してしないなければ避けるべきです。仮に、部屋の大きさに合っていない石油ファンヒーターを使用し続けた場合、いつまでも室温が設定温度まで上がらなかったりして過剰に燃焼し電気代が高くなってしまうこともあります。
よって、使用する部屋の大きさに応じた暖房出力のモデルを選定しましょう。

図はダイニチが公式HPで表記されている暖房出力と適した部屋の大きさ指標です。
家電量販店でも製品の仕様項目に「暖房出力(kW)」と「使用する部屋の畳数」が表記されています。まずはここを必ず確認しましょう。部屋の大きさは木造の場合とコンクリートの場合で分かれているので、自分の部屋に合った方を参照してください。
本体価格
価格で選ぶのもアリです。同じ暖房出力でもモデルがいくつかあります(○○タイプなど)。基本的に同じ暖房出力なのに価格が異なるモデルがある場合、機能や性能が異なります。
細かい機能や性能の良し悪しはあまり気にせず安い方が良いという方は、最もベーシックなモデルを選択すれば問題ありません。機能もデザインもシンプルで価格も最も安いはずです。
付加機能
各モデルとも搭載されている機能が異なります。例えば、『消臭機能』、『エコ機能』など気になる機能があるのであれば、関連した機能が備わっているモデルを選びましょう。
ダイニチの石油ファンヒーターでは、『秒速消臭システムプレミアム』や『ecoおまかせモードプラス』、『タンク内残り油量表示機能』などの機能があります。気になるものはチェックしてみてください。
2024年には新しく『かんたんフィルタークリーナー』というフィルターお掃除装置が搭載されました。1週間に1度だけ上下にスライドするだけでフィルターに付着したホコリを回収することができる便利な機構です。ハイクラスモデルにだけ採用されています。
メーカーで選ぶ場合
ダイニチの石油ファンヒーターだけでなく、コロナやトヨトミの石油ファンヒーターとも比較して選ぶ場合は点火時間や消費電力も重要なポイントになります。
ダイニチとコロナ、トヨトミの各メーカーごとの比較は別の記事で比較しまとめていますので、気になる人はチェックしてみてください。

ダイニチ石油ファンヒーターのラインナップ
ダイニチの石油ファンヒーターは、大きく分けて13機種あります。ラインナップには家電量販店向け用モデルとホームセンター向けモデルもあります。
また、家電量販店やホームセンターでは、『法人独自のオリジナルモデル』としてダイニチの石油ファンヒーターを売っている場合もあります。オリジナルモデルは基本的なモデルに機能を少し追加したり、色を変えたりした程度のモデルです。
今回はダイニチ石油ファンヒーターの数あるラインナップの中から、人気が高いモデルをいくつか紹介します。
Sタイプ

| 出力タイプ | 適用畳数(木造/鉄筋) | 参考価格 |
|---|---|---|
| 2.5kW | 7畳/9畳 | 14,790円 |
| 3.2kW | 9畳/10畳 | 18,480円 |
| 4.2kW | 11畳/15畳 | 24,800円 |
ダイニチ石油ファンヒーターのベーシックモデルになります。ラインナップの中でもボトムクラスに位置し、本体価格が非常に安くて機能的にもとてもシンプルです。価格の安さが故に、ラインナップの中でも売り上げ台数は断トツでトップを誇ります。
Sタイプには暖房出力が2.5kW、3.2kW、4.2kWの3モデルあります。その中で3.2kWモデル『代表型式FW-32S6』が最も人気です。(語尾のS6は発売した年度によって異なります)他社を含めた中でも最も売れている石油ファンヒーターと言っても過言ではありません。
FZタイプ

| 出力タイプ | 適用畳数(木造/鉄筋) | 参考価格 |
|---|---|---|
| 10.0kW | 26畳/35畳 | 76,800円 |
ダイニチの中で最も高い暖房パワーを有するのがFZタイプです。他のメーカーを含めた中で最も出力が大きい石油ファンヒーターです。特徴的なデザインからグッドデザイン賞も受賞しています。暖房出力は10.0kWという家庭用石油ファンヒーターでは最高クラスの暖房力を誇ります。
木造住宅なら26畳、コンクリートなら35畳まで対応できます。オフィスなどの広い部屋には持って来いの石油ファンヒーターです。石油ファンヒーターにしては少し大き過ぎる気はしますが、広い空間で石油暖房を使いたいという場合はおすすめです。
SGXタイプ

| 出力タイプ | 適用畳数(木造/鉄筋) | 参考価格 |
|---|---|---|
| 3.7kW | 10畳/13畳 | 39,800円 |
| 4.7kW | 12畳/17畳 | 47,800円 |
| 5.7kW | 15畳/20畳 | 53,800円 |
2018年に発売されたダイニチのフラグシップモデル(最上位機種)がSGXタイプです。暖房出力は3.7kW、4.7kW、5.7kWの3種類で、ありとあらゆる機能を詰め込んだモデルになります。
吹き出し口の動くトリプルフラップは、コロナの石油ファンヒーター「WZシリーズ(2016年発売)」の可動ルーバーを模倣したような見た目で類似しています。フラップが動くことで温風の向きを上下方向に変化させて、温度のムラを無くすことを狙っています。
更に、ダイニチ独自の特許技術で消臭性能も高く、灯油の嫌なニオイを低減限りなくしています。見た目は他の機種に比べて高級感がありインテリアにも馴染みやすいのが特徴です。2024年モデルには新しく追加された『かんたんフィルタークリーナー』も搭載されています。
GRタイプ

| 出力タイプ | 適用畳数(木造/鉄筋) | 参考価格 |
|---|---|---|
| 3.7kW | 10畳/13畳 | 34,700円 |
| 4.7kW | 12畳/17畳 | 45,800円 |
| 5.7kW | 15畳/20畳 | 51,480円 |
GRタイプは、2018年にSGXタイプが発売されるまでダイニチの最上位モデルとして君臨していました。SGXタイプは家電量販店のみに対し、GRタイプはホームセンター向けとしても販売されています。暖房出力は3.7kW、4.7kW、5.7kWの3種類でSGXタイプを同じです。
今はハイグレードモデルとしてNo.2という位置づけになっておりますが、タンクの残りの灯油量が分かる機能や秒速消臭システムプレミアムなど、高付加価値モデルとして人気があります。見た目は他の石油ファンヒーターとは異なる雰囲気で独特です。こちらも新しく24モデルから『かんたんフィルタークリーナー』が搭載されました。
おすすめのダイニチ石油ファンヒーターはこれ

ダイニチの石油ファンヒーターを選ぶなら、やっぱりSGXタイプがおすすめ!
家電マニアの私が個人的にもおすすめするのは、最上位モデルの『SGXタイプ』です。快温・速暖・消臭のトリプル宣言を謳っており、ダイニチの石油ファンヒーター史上でも最高のスペックとのこと。消臭性は高く、灯油のニオイを気にする方にとって非常に魅力的だと思います。

余談になりますが、2018年以前の石油ファンヒーター市場では、高級クラスはコロナの最上位モデル「WZシリーズ」が名を馳せていましたが、ダイニチのSGXタイプが発売されてからは状況が変わりました。
元々は低価格帯を得意としていたダイニチが高級クラスにも満を持して参入し、幅広い客層からの人気を集めるようになりました。
個人的にもデザイン性も重要な選定要素だと考えます。冬の間はしばらくお部屋に居座る家電なので、デザインがおしゃれだと使用している時も気分が上がるので飽きないにくいと思います。
「早く暖まりたい+快適に暖まりたい+デザインも重要」と考える人にSGXタイプがおすすめ
ダイニチ以外にもおすすめの石油ファンヒーターをまとめています。モデル選びで検討している人は下記の記事を参考にしてみてください。

とにかく点火まで早い方が良い人はダイニチで決まり!
石油ファンヒーターは既に成熟された家電製品でもありますが、今でも各メーカーがしのぎを削って開発しています。
ダイニチはここ何年もトップシェアを誇っています。それは豊富なラインナップと、手に届きやすい価格を維持しつつ、新しい商品を投入し続けているからだと思います。お気に入りの一台を見つけて、暖かく快適な生活を送りましょう。
コロナとトヨトミの石油ファンヒーターについても個別にまとめているので、検討している人はチェックしてみてください。



