扇風機とサーキュレーターは使用する目的が異なります。扇風機は人が涼むためのもの、サーキュレーターは部屋の空気を循環させるためのものです。サーキュレーターはエアコンとの併用で効果的な使い方をすれば節約に繋がり、省エネ性の向上などメリットが多くあります。サーキュレーターの効果的な使い方、選び方やおすすめモデルも紹介します。
サーキュレータと扇風機の違い
扇風機とサーキュレーターの違いは、使用する目的です。扇風機は、人が自ら涼むために使います。対して、サーキュレーターは、空気を循環させるために使用します。
- 扇風機 … 人が涼むため
- サーキュレーター … 空気を循環するため
同じ風を出す家電製品ではありますが、扇風機とサーキュレーターはそもそもの使用目的が異なるのです。それでは、扇風機とサーキュレーターについて、特徴と使い方を見ていきましょう。
扇風機の特徴と目的
扇風機の使用目的は、人が涼むためです。昔から日本で使われてきた「扇子」や「うちわ」と同じ目的です。風を直接人体に当てることで、身体の表面温度が下げて涼しいと感じるようになります。そのため、扇風機はなるべく広範囲に風を出せるように設計されております。極端なイメージとしては、広く浅い風を放出するような感じです。
最近では首掛け式の扇風機や、ハンドタイプ(手持ち式)の小型扇風機も流行となっています。当然ながら、これらは人が涼むためのものなので扇風機であり、間違ってもサーキュレーターとは言いません。机に固定するような卓上扇風機やデスクファンもサーキュレーターではありません。どれも涼むための扇風機です。
扇風機のおすすめの使い方
扇風機は広範囲に風を送ることができますので、複数人が集まる場所におすすめです。リビングで団らんする場所や親戚との集まりなど、首振り運転しながら扇風機を運転すれば複数の人が涼を感じられます。
また、就寝する際に使用するのもおすすめです。エアコンを使うほどではない暑さの夜、扇風機を運転しながら就寝すれば快適です。扇風機は静音性に特化されたモデルも数多く販売されていますので、ファンの回転音も気にせずに眠ることができます。
サーキュレーターの特徴と目的
サーキュレーターの目的は、空気を循環させることです。換気扇やシーリングファンと似たような分類になります。室内の空気に動きをつけて対流を起こします。空気に流れができることで、部屋内の室温のムラを無くすことが可能であり、さらに湿気も溜まりにくくなります。
当然ですが、扇風機と同様に回転ファンから空気を送りますので、人に直接当てて涼をとることもできます。ただし、扇風機が送り出す風とは風の質が異なります。サーキュレーターの風は、奥行き方向に長い風を出します。扇風機の広く浅い風に対して、細く長い風を送り出します。部屋の隅から隅まで風を届けることができるので、空気を循環させやすいのです。
サーキュレーターのおすすめの使い方
サーキュレーターは空気の循環が得意なので、エアコンとの併用がおすすめです。エアコンで冷房や暖房している際にサーキュレーターを使用することで、部屋の中の温度ムラを無くすことができます。温度ムラを無くすことで効率的に室温を調整することが可能となるので、電気代の節約にもなります。サーキュレーターの電気代はエアコンに比べれば僅かな程度なので、常時つけっぱなしでもトータル的に節約になります。
さらに、サーキュレーターは部屋の空気を換気する際の効率アップにもおすすめです。部屋の窓を開けて換気する際、窓や扉の位置によっては空気が淀みやすい箇所があります。ただ窓を開けただけでは外気が上手く入って来ないことも多く、中の空気を屋外へ逃がすことも難しかったりします。そのような時に、サーキュレーターで空気の流れを作ることで循環を促進し換気効率をアップさせることができます。
扇風機は広い範囲に風を送り出すのに対し、サーキュレーターは遠くへ直線的な風を送り出すのがポイントです
扇風機とサーキュレーターのどっちを選ぶべきか
扇風機とサーキュレーターの使用目的について紹介しました。使用用途に応じて、扇風機かサーキュレーターを選んで頂ければ良いです。人が涼むためなら扇風機、エアコン冷房の補助や空気の循環用であればサーキュレーターを選びましょう。
しかし、おそらく大半の人は「涼むためだけでなく、同時にエアコン補助用や循環用の両方の目的で使いたい」と考える方が多いのではないでしょうか。1台で2役を全うできればそれに越したことはありません。そのような場合は難しく考えず、シンプルに選べば大丈夫です。
どっちを選ぶか迷う場合
扇風機とサーキュレーターをどっちも欲しくてどちらかに絞りたいけど、どちらを買った方が後悔しないのか分からないという人もいると思います。そんな場合は、基本に帰って自分が好きなものを選びましょう。選ぶ際にチェックする点は以下の3つだけです。
- 本体のサイズ
- 使用する部屋の大きさ
- デザイン
本体のサイズ
一般的に、扇風機はサイズが大きく、サーキュレーターは小さいです。自分が使用するにあたって、頭が大きな扇風機はスペース的に邪魔になりそうだなと感じるのであれば、コンパクトなサーキュレーターを選ぶ方が良いです。
家庭用サーキュレーターの大きさは、平均して膝下ほどの高さしかありません。使用している時も片付ける場合も省スペースで済むので便利です。
使用する部屋の大きさ
部屋の大きさから選ぶのもポイントの一つです。サーキュレーターは部屋の空気を循環するのに有効的ですが、一つだけ注意点があります。それは、使用する部屋の大きさがある程度小さい場合です。
例として挙げるならば、一人暮らしで住むことが多い6畳や8畳程度のワンルームは小さい部屋です。この程度の部屋の広さでは、奥行き方向の風が得意なサーキュレーターの本来の力が発揮できません。むしろ、扇風機をサーキュレーター替わりに使用した方が広範囲の空気循環が可能なケースもあります。よって、6畳程度のワンルームの部屋にお住みであれば扇風機でサーキュレータ代わりとして使っても良いと思います。
デザイン
扇風機やサーキュレーターと聞いて思いつくのは、「扇風機は古臭く、サーキュレーターは新しい」というイメージではないでしょうか。扇風機の形が古臭いかどうかはさておき、サーキュレーターは比較的に機能がシンプルでサイズもコンパクトなのでモダンな家電だと思います。正直、扇風機でもサーキュレーターでもどっちでも良いなっていう人は、見た目のおしゃれさで決めるのも良いと思います。
個人的にはアイリスオーヤマのサーキュレーター扇風機という商品をおすすめめします。その名の通り、扇風機とサーキュレーターを一緒にしてしまったという商品です。おそらくサーキュレーターに分類されるのかと思いますが、扇風機としての役割も十分にこなせます。下記の画像から公式通販サイトアイリスプラザに行けますので、気になる方は検討してみてください。
サーキュレーターの効果的な使い方
サーキュレーターの役割は、空気を循環させることです。しかし、ただ適当に使っていてもサーキュレーター本来の効果は得られません。正しいサーキュレーターの使用方法を知っていることで、より効率的に冷房・暖房の補助や空気循環ができます。
効率的に冷暖房が行えるということは、エアコン等の消費電力を低減することができ、電気代の節約にも繋がります。この機会にサーキュレーターの正しい効果的な使い方を知って頂ければと思います。
冷房時の効果的な使い方
部屋の中の冷たい空気は下の方に溜まりやすい性質があります。反対に、暖かい空気は部屋の上方へ溜まりやすいです。つまり、お部屋の下に溜まった空気と天井付近の暖かい空気を上手く循環させることが冷房時のポイントとなります。
多くのサーキュレーターは単に背が低いため、床に置くだけでいいのかと思う人もいるかもしれません。しかし、それは違います。冷房時の最大のポイントは、エアコンに背を向けてサーキュレーターを配置することです。
サーキュレーターの背をエアコンの吹き出し側に向けることで、エアコンから降りてきた冷気がそのままサーキュレーターに吸い込まれます。吸い込んだ冷気はサーキュレーターの回転ファンによって部屋の遠くまで循環させることが可能になります。これにより、部屋の中に空気の流れができるため、床付近の冷たい空域と天井付近の暖かい空気が効率的に循環します。結果的に部屋の中の室温にムラがなくなるのです。
特に、部屋が広い場合や二つの部屋を共通して冷房する際にサーキュレーターによる冷気の拡散は有効的です。
ロフトや吹き抜けの場合
ロフトや吹き抜けの場合は普通の部屋以上に熱気が上方へと滞ってしまいます。そのため、ロフトや吹き抜けの場合はサーキュレーターを2台併用することが最も効果的です。
一台は上の階に設置し、熱気を流す役目として使用します。もう一台は下の階から冷気を上に押し上げる役目として使用します。この方法によって、空間の温度のムラが一気に解消され、効率的に循環することができるのでおすすめです。
暖房時の効果的な使い方
冬場の暖房時にサーキュレーターを使用することに抵抗があるという方も少なくないかもしれません。しかし、暖房運転時もサーキュレーターを併用することで格段に暖房効率が上がります。暖かい空気は部屋の上層へ溜まりやすいですので、この溜まった暖気をサーキュレーターで拡散させるのです。
暖房時における最大のポイントは、サーキュレーターをエアコンの対角線に位置する部屋の隅に配置し、エアコンに向けて風を送るということです。家具などが邪魔で対角線の隅に置けないのであれば、サーキュレーターを天井に向けて垂直方向に送風するのも効果的です。
ロフトや吹き抜けの場合
冷房の時と同じ考え方になります。送風の向きが反対で、上の階に置くサーキュレーターは下の階を目がけて暖気を循環させ、下の階に置くサーキュレーターはエアコンに向けて送風します。これで温度のムラが無い空間を作ることができます。
換気する場合の効果的な使い方
部屋の空気を換気したい場合は、窓やドアの方へ向けてサーキュレーターを運転するだけです。背面から吸い込んだ空気を窓やドアに向けて押し出します。洗濯物を乾かす場合など同様で、洗濯物に目がけて送風すれば効率的に乾かすことができます。
サーキュレーターの電気代
サーキュレーターの使用時に気になるのが電気代です。エアコンとの併用で節約になるとは言うものの、サーキュレーターを運転するのに電気代は本当にお得なのか疑問に思う人もいるのでしょう。
サーキュレーターの電気代は安い
結論を言うと、サーキュレーターの電気代は非常に安いです。これは扇風機も同様です。基本的にはファンを回すモーターしか電気を使いません。実際、電気代がいくらくらいになるのか代表例を挙げて計算してみましょう。
トップクラスの人気を誇るアイリスオーヤマの「サーキュレーターアイPCF-SDC15T」で計算してみます。
このサーキュレーターの消費電力は25W。1kWhあたりの電力量料金を27円として計算する場合、1時間あたりの電気代は以下のようになります。(27円;公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会電気料金目安価格)
消費電力 0.025(kW) × 1時間 × 27(円) = 0.675(円) … 1時間あたりの電気代
仮に、1日に8時間ほど使用した場合にかかるとして、1か月あたりの電気代を計算すると以下のようになります。
0.675(円) × 8時間 × 30日 = 162(円) … 1か月あたりの電気代
よって、1日8時間の使用で1か月の電気代は162円という計算結果になりました。仮に24時間つけっぱなしでも1か月で500円以下と言う計算です。使用する時間や機種によっても前後しますが、エアコンの電気代に比べれば僅かなものです。他の家電製品に比べても消費電力は非常に低いと言えます。
サーキュレーターや扇風機の電気代は安いので、エアコンとの併用にも気にせず使うべきです
おすすめの扇風機
最近の扇風機は、DCモーターという回転数を細かく制御できるモーターを搭載する機種が増えてきました。それによって、自然の風のような柔らかい優しい風を送り出すことができます。昔の扇風機は、強烈な風を人体にぶつけて涼をとるというような状態でした。
しかし今は、長時間当たっていても不快に感じない程度の風を生み出すことが可能なため、改めて扇風機の人気が出てきているようです。
扇風機のおすすめモデルについては別の記事にまとめていますので、気になる方はこちらを参考にしてみてください。
また、タワー型の扇風機も人気です。設置しても邪魔になりにくく、デザイン性も高いので人気です。タワーファンについても選び方とおすすめ商品を紹介しているのでチェックしてみてください。
おすすめのサーキュレーター
おすすめのサーキュレーターを紹介します。ここでは王道的な人気モデル、おしゃれなモデル、ユニークなモデルの3パターンに分けて紹介します。
人気のサーキュレーター
アイリスオーヤマ サーキュレーターアイPCF-SC15T
適用床面積 | 18畳 |
消費電力(50/60Hz) | 38/36W |
騒音値 | 35 dB |
参考価格 | 7,051円 |
アイリスオーヤマのサーキュレーターアイはサーキュレーター市場で最も有名と言っても過言ではありません。本体はコンパクトなのにパワフルな送風が可能な点が最大の特徴。送風の到達距離は25mで、18畳もの部屋をサーキュレーターアイ一台で対応することができます。上下左右に首振りができるので空気の循環や洗濯物を乾かす際のサポートにも活躍します。また、運転時の騒音は35dBで図書館並みの静かさなのも売れしいポイント。
アイリスオーヤマ PCF-HD15N-W
適用床面積 | 8畳 |
消費電力(50/60Hz) | 31W |
騒音値 | 35 dB |
参考価格 | 3,313円 |
こちらもアイリスオーヤマを代表するサーキュレーターの一つです。サーキュレーターとしての性能は申し分が無いにも関わらず、価格が非常に安いのが特徴。適用畳数としても8畳の部屋まで対応することができます。上下の首角度の調整は手動で可能。風量は3段階で調節することができ、運転操作はつまみを回すだけなのでお年寄りや子どもでも簡単に操作できます。とにかく価格の安さを重視したい人にもおすすめのサーキュレーターです。
おしゃれなサーキュレーター
バルミューダ GreenFan Cirq EGF-3400-WK
適用床面積 | 非公開 |
消費電力(50/60Hz) | 20W |
騒音値 | 非公開 |
参考価格 | 27,500円 |
おしゃれなデザイン家電で有名なバルミューダのサーキュレーター。デザインだけではありません。DCモーターを採用しており、優れた省エネ性能で最弱運転時はわずか3Wの消費電力。1日8時間運転した時の電気代はなんと0.6円という驚くほど経済的です。エアコンとの併用時はエアコンの電気代を20%も下げることができます。価格は高めですが、デザイン性も重視したい人におすすめです。。
ボルネード VFAN2-JP
適用床面積 | 24畳 |
消費電力(50/60Hz) | 31/35W |
騒音値 | 46 dB |
参考価格 | 22,000円 |
ボルネードは約70年前に世界で初めてサーキュレーターを開発した米国メーカーになります。飛行機の性能を研究していた中で生み出したとのことで超実力派です。プロペラファンの形が昔の航空機のプロペラに類似しており、アンティークグリーンのデザインが雰囲気を醸し出します。人とは違ったサーキュレーターを求める人におすすめです。
カドー 除菌サーキュレーターSTREAM1800
適用床面積 | 32畳 |
消費電力(50/60Hz) | 3~25W |
騒音値 | 21~52dB |
参考価格 | 29,920円 |
cadoはデザイン性が高い家電で人気を集めているメーカー。空間除菌をしながら送風できるサーキュレーターです。触媒フィルータと低濃度のオゾンを使用することで除菌することができます。スタイリッシュな操作タッチパネルとコンパクトなボディがインテリア性を高めます。触媒フィルターは定期的に交換することで効果を高めます。
スタドラーフォーム Otto
適用床面積 | 非公開 |
消費電力(50/60Hz) | 最大62W |
騒音値 | 42~60 dB |
参考価格 | 19,000円 |
スイスのデザイン家電ブランドStadler Formのサーキュレーターです。特徴的なデザインが魅力なOttoですが、フレームにはバンブー(竹)を使用しています。自然環境にも優しく、お部屋にも自然と溶け込むようなデザインが人気ですy。送風距離は約3メートルで、風量は3段階から調節することが可能です。
ユニークなサーキュレーター
パナソニック F-BL25Z
適用床面積 | 非公開 |
消費電力(50/60Hz) | 18.5W |
騒音値 | 非公開 |
参考価格 | 39,800円 |
誘引気流という、空気を高圧化して吹出す通り道の付近の空気が高圧化された空気の影響を受けて動く現象を利用して送風する全く新しいサーキュレーターです。見た目は奇抜さを狙った訳ではなく、誘引気流の特性を最大限に発揮する目的でこうなったようです。近未来のサーキュレーターという感じが漂います。現在は生産終了していますが、まだまだ取扱いが多いサーキュレーターです。
ダイキン アシストサーキュレーターMPF10WS
適用床面積 | 非公開 |
消費電力(50/60Hz) | 7~28W |
騒音値 | 35~58dB |
参考価格 | 36,532円 |
世界的空調メーカーダイキンの特徴的なアシストサーキュレーターです。風を遠くに届けるのは当然ですが、エアーカーテンとして冷気の侵入を防いだりなど多用途に対応しています。壁掛けや天井への設置、床置きなど様々な設置に対応している点が非常に便利です。無線LAN接続でエアコンとの連動して運転することもできます。適用床面積は公開されていませんが、公式サイトを参考にするとかなり広い空間まで対応できるかと思います。
サーキュレーターと扇風機の違いのまとめ
使い方次第では扇風機もサーキュレーター替わりになりますし、サーキュレーターも扇風機の代用になります。そこまでこだわらないのであれば、大きさとデザインで選ぶのも良いかもしれません。
夏場しか使用していないという人が多いかもしれませんが、個人的には冬の暖房こそ使用するべきだと考えます。エアコンは冷房時に比べて暖房の方が消費電力(電気代)が大きいからです。通年使用を前提とした商品を選ぶことをおすすめします。