暖房器具にはエアコンや電気ストーブ、石油暖房器具、ガスストーブ、薪ストーブなど幅広い種類があります。
その中でも、暖房器具としておすすめしたいのが石油ファンヒーター。
石油ファンヒーターには優れた特徴が多く、電気ストーブなどには絶対に負けないメリットがいくつもあります。
石油ファンヒーターがおすすめの理由と、おすすめのメーカー、実際に購入するならこの機種というおすすめの商品も紹介します。
さらに、節約にもなる効果的な使い方から、長持ちさせる為の使用上の注意までまとめます。
暖房器具で迷っている方や、石油ファンヒーターのおすすめが気になる方の参考になればと思います。
石油ファンヒーターと石油ストーブの違い
石油ファンヒーターと同じく、灯油を使う暖房器具に石油ストーブがあります。
石油ストーブと石油ファンヒーターを同じものだと誤認している方も多いですが、この二つは似ているようで全く異なる暖房器具です。
石油ファンヒーターと石油ストーブの違いを簡単にまとめると以下になります。
- 電気を使用するか
- 強制的に温風を吹き出すかどうか
根本的な違いは、電気(電源)を使用するかどうかです。
石油ファンヒーターは家庭用コンセントから電気を使って運転します。モーターを回して熱を温風として吹き出す暖房器具。
対して、石油ストーブは電源を使用しません。灯油だけあれば燃焼することができる自立型の石油暖房器具です。熱を自然な対流として放出するので、石油ファンヒーターのような強制的な温風は出ません。
つまり、電気を使って制御しているかどうかで全く異なる暖房器具になっています。
ただし、もちろん共通点もいくつかあります。
- 灯油を燃料とする
- 熱効率100%
- 加湿する
石油ファンヒーターと石油ストーブとの違いと共通点について詳細を以下のページでまとめています。違いや共通点など詳しく知りたい方は下のページを参考にしてみてください。
石油ファンヒーターがおすすめの理由①|加湿する
石油ファンヒーターがおすすめの大きな理由の一つは、加湿するということ。
灯油やガスを使用する暖房器具は、化石燃料を燃焼することで水を放出するため、お部屋を加湿します。
部屋の湿度というのは、『相対湿度』と言った温度との関係で決まります。空気中の水分量(絶対湿度)が仮に一定だった場合、室温が上がるにつれて相対湿度は下がります。
つまり、暖房器具で部屋の温度だけを上げる場合でも湿度(相対湿度)は低下してしまいます。
エアコンや電気だけを使う暖房器具では、個別に機能が無い限りは絶対に加湿しません。その為、部屋の温度が上がるにつれてあっという間に乾燥してしまいます。
しかし、石油ファンヒーターを始めとする石油暖房器具では、暖房と同時に水を放出しているので運転している限り、加湿し続けます。
部屋の相対湿度は徐々に下がる場合もありますが、エアコンや電気暖房器具と比較すると極めて乾燥しにくいです。
なぜ、石油ファンヒーターや石油ストーブは灯油を燃焼させると加湿するのかは、下記の記事で詳細を解説しています。詳細を知りたい方はチェックしてみてください。
石油ファンヒーターがおすすめの理由②|ウイルス除去効果
石油ファンヒーターにはウイルス除去効果が確認されている、ということもおすすめの理由です。
2020年12月、石油ファンヒーターのメーカーであるダイニチ工業が、「石油ファンヒーターによる浮遊ウイルス除去効果の確認」を発表しました。
実使用空間を想定した検証ではありませんが、北里環境科学センターの試験機関で特定のウイルスを除去できる効果が確認されています。
なぜ除去できるのかの細かい話は難しいですが、石油ファンヒーターは屋内の空気を器具内に取り入れ、非常に高温となる燃焼部を通過させることが影響していると考えられます。
イメージとしては、空気清浄機は空気を一度吸い込んでフィルターを通して再び室内へ放出しますが、このフィルターが燃焼機関に代わったという感じです。
よって、暖房しているだけでウイルス除去の効果も期待ができるのが石油ファンヒーターがおすすめな理由になります。
石油ファンヒーターによるウイルス除去効果は下記の記事で徹底的に解説しています。ダイニチ以外の研究や文献を参考にした上で考察していますので、詳細が気になる方はチェックしてみてください。
石油ファンヒーター|おすすめメーカー
現在の石油ファンヒーター市場は、主に3つのメーカーでシェアを占めています。
シェアが大きい順にダイニチ、コロナ、トヨトミです。数年前まではアラジンも石油ファンヒーターを生産していましたが、現在は中止しています。
この3社は、それぞれが異なる燃焼方式を採用しているため、メリットやデメリットなどの特徴も異なります。
電気代や着火までの時間、耐久性など各々にメリットがあり、デメリットもあります。
それらの特徴を比較した記事を下記ページで作成しています。実際の商品を使って比較しながら、仕組みからおすすめ機種まで徹底解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
おすすめメーカー1|ダイニチ
石油ファンヒーターでトップシェアを誇るのがダイニチ。
ダイニチのメリットとデメリットを簡単にまとめると下記のようになります。
メリット | デメリット |
---|---|
着火時間が早い ニオイが少ない | 電気代が高い 運転音がうるさい |
ダイニチが選ばれる多くの理由が、着火時間の早さです。
石油ファンヒーターは仕組み上、着火するまでに運転開始のスイッチを押してか数十秒かかります。機種によっても違いますが、ダイニチの場合は最短で35秒で着火します。
ライバルのコロナが最短55秒、トヨトミが90秒であることを見れば、ダイニチが断トツで早いことが分かります。
冬の寒い帰宅時にできるだけ早く暖まりたいと思うのが普通なので、この点からダイニチを選ぶ方が多いです。
もちろん、電気代が高いなどのデメリットもありますが、ランニングコストよりも着火時間を優先させたい人にはダイニチがおすすめです。
ダイニチの石油ファンヒーターの特徴やメリットとデメリットを個別に解説した記事があります。ダイニチの石油ファンヒーターのおすすめモデルも併せて紹介しているので、購入を考えている人はチェックしてみてください。
おすすめメーカー2|コロナ
ダイニチに次ぐライバルとしてシェアを維持するコロナ。
コロナの石油ファンヒーターの特徴をまとめると下記のようになります。
メリット | デメリット |
---|---|
電気代が安い 運転音が静か | 着火時間がダイニチより遅い |
コロナの石油ファンヒーターを選ぶ人の多くが、電気代の安さ。
上位モデルの消費電力の低さは業界No.1です。燃焼方式に由来するのも理由の一つですが、更にDCモーターを採用したことで断トツの低消費電力を実現しています。
最上位モデルの消費電力は、最大出力で9.5W。ダイニチが129Wであることを考えるとかなり大きな差があります。年間の電気代で比較すると、数千円程度は差が出てきます。
着火時間はダイニチよりも遅いというデメリットがありますが、逆に言えば大きなデメリットが少ないのもコロナの特徴。
電気代などランニングコストも考えたい人にはコロナの石油ファンヒーターがおすすめです。
コロナの石油ファンヒーターの特徴やメリットなどを下記ページで個別に解説しています。コロナのおすすめモデルも併せて紹介しているので、コロナの石油ファンヒーターの購入を考えている人はチェックしてみてください。
おすすめメーカー3|トヨトミ
ダイニチとコロナほどではないですが、特徴あるオンリーワン商品が人気のトヨトミ。
トヨトミの石油ファンヒーターの特徴を簡単にまとめると下記になります。
メリット | デメリット |
---|---|
耐久性が高い 電気代が安い | 着火時間が遅い ニオイが臭い |
トヨトミの大きなメリットが耐久性の高さです。
トヨトミの燃焼方式は、不良灯油や昨シーズンに残ってしまった持ち越し灯油を使用しても簡単には故障しない耐力があります。
また、電気代も安いです。最上位モデルではコロナに負けていますが、ボトムクラスの消費電力ではトヨトミが最も消費電力が低いです。
着火時間の遅さとニオイが強めであることがデメリットとなりますが、トヨトミには石油ファンヒーターに電気ヒーターを搭載したハイブリッドファンヒーターや遠赤タイプのファンヒーターなどもあります。
ちょっと変わった石油ファンヒーターが欲しいという人にはトヨトミがおすすめです。
また、トヨトミの個性豊かな石油ファンヒーターや特徴などを解説した記事もあります。おすすめモデルも紹介しているので、詳細が気になる方はチェックしてみてください。
おしゃれなおすすめの石油ファンヒーター
せっかく使うなら、おしゃれな石油ファンヒーターが欲しいという人がとても多いです。
石油ファンヒーターは少し昔だとデザインが微妙で、暖房器具だから仕方ないと割り切って使っていたという人も多いのではないかと思います。
しかし、今の石油ファンヒーターはおしゃれなデザインのモデルも多く、モダンなインテリアのような外観のものまで登場しています。
高級感のある部屋だから雰囲気を壊したくない、可愛い部屋だからできれば可愛らしい見た目の石油ファンヒーターが良い。そんな人にもおすすめできる、おしゃれな石油ファンヒーター10個を下記ページで紹介しています。
お部屋の雰囲気に合わせたおしゃれなおすすめモデルを紹介をしていますので、参考にしてみてください。
石油ファンヒーター|節約に繋がるおすすめの使い方
石油ファンヒーターには節約にも繋がる、おすすめの効果的な使い方があります。
まずは、石油ファンヒーターをお得に使用する上で押さえておきたいポイントは下記です。
- 暖め過ぎない
- 温度ムラを減らす
- 燃焼効率を維持する
暖房を行うと部屋には温度のムラが生じます。天井付近は暖かい空気、床付近は冷たい空気が溜まりやすいのはご存知の方も多いでしょう。
それ以外にも、窓の近くや家具の後ろなど暖房が届かない箇所の温度は低いままで、暖かい場所との差が出てしまうケースが多いです。
これらのポイントを念頭に置いた上で、節約に効果的な使い方を簡潔にまとめると下記になります。
- 窓際に設置する
- サーキュレーターを併用する
- 循環を妨げない家具の設置
- 省エネ機能を使う
- 空気取り入れ口を掃除する
これらのポイントを意識して使用することで、暖房効率を維持したままで無駄な電力消費を抑えることができます。
窓際に設置すると、窓から入る冷気を直接ファンヒーターが暖めることで部屋に冷気が侵入することを防ぎ、温度ムラを抑制できます。
また、家具の設置場所を工夫したり、サーキュレーターを併用すれば循環を促進し、温度を均一化させることができます。
石油ファンヒーター自体の燃焼効率を維持するには、空気取り入れ口の掃除が効果的。ホコリが溜まらないように定期的にメンテナンスすることをおすすめします。
これらの電気代や灯油代の節約に効果的な使い方については、詳細を下記ページで解説しています。少しでも節電したい方はこちらを参考にしてみてください。
石油ファンヒーター|おすすめの買い替え時
石油ファンヒーターの寿命の目安は8年です。
これは『設計標準使用期間』という、メーカー側が製品を設計する際に安全に使える期間の目安とするもので、日本ガス石油機器工業会が定めた基準になります。
つまり、一般的には石油ファンヒーターを購入して8年使用したら、そろそろ買い替え時だということです。
家電開発エンジニアの著者の考えとしても、設計標準使用期間を過ぎたら買い替えを検討し始めることをおすすめします。
理由は、実際に使用中にエラーが出て壊れてからでは、寒い時期に一刻も早く新しい石油ファンヒーターを買おうとして、モデル選びに時間を割けないからです。
製品のばらつきや使い方によっては、8年よりも早く故障することはあります。逆に、10年以上もエラーが出ることもなく運転できることも珍しくはありません。
個人的には買い替えの検討をおすすめしますが、壊れるまで長く使い続けたいと思う人も多いかと思います。
そんな人には、石油ファンヒーターの寿命を延ばす方法と対策を解説しています。故障原因として多いケースやその予防策としてできることを紹介しているので、こちらを参考にしてください。
石油ファンヒーター|使用する上で注意すべきこと
最後に、石油ファンヒーターを使用する上での注意点についても解説します。
使用中や使用後に注意したいポイントだけでなく、シーズン初めとシーズン終わりにしておくべきこと、定期的にすべきことがそれぞれあります。
石油ファンヒーターを長く安全に、賢く使用する為にはやって欲しいポイントをまとめます。
シーズンの初めにすべきこと
- フィルター掃除
- 平らな場所に設置
- 昨年の灯油を使わない
- タンクも油漏れがないか確認
寒くなり始めたシーズン初め、物置や倉庫に保管していた石油ファンヒーターを取り出してくるかと思います。
しばらく使っていなかった石油ファンヒーターは、いきなり使うのではなくまずは状態のチェックをすべきです。
ホコリが溜まっていないか、タンクに漏れがないかなど安全に使えると判断した上で使用を開始しましょう。
使用中にすべきこと
- 定期的に換気する
- 可燃物を回りに置かない
- シリコンに注意
使用中にも中止すべきポイントがあります。
定期的な換気や可燃物を近くに置かないことは当たり前だと思う方がほとんどだと思いますが、シリコンについてはどうでしょうか。
石油ファンヒーターが運転している近くで、ヘアスプレーや整髪剤を使っていませんか。シリコンを吸い込んでしまうと燃焼状態を検知する部品に被膜できてしまい、エラーを起こしやすくなります。
使用後にすべきこと
- 給油時は運転停止
- 外出や就寝時は運転停止
- 停止してすぐにコンセントから抜かない
使用後に注意したいのが、停止後すぐに電源コードをコンセントから抜かないこと。
運転停止スイッチを押した後、燃焼自体はすぐに停止しますが、その後はファンを回転させて製品の内部を冷却しています。
すぐにコンセントから抜いてしまうと冷却がされず、制御自体が途中で遮断されてしまうので、寿命を縮めてしまうことに繋がります。
シーズン終わりにすべきこと
- 固定タンクの油を抜く
- 平らな場所で保管する
シーズンの終わりには、保管する前に正しいメンテナンスを行う必要があります。
灯油を器具から抜く際には、カートリッジタンクだけではなく、器具本体の底に固定されている固定タンクからも抜き取りが必要です。
固定タンクの灯油を抜き取らずに保管してしまうと、次のシーズンのはじめには灯油が劣化した状態となってしまい、故障の引き金にもなりかねません。
また、できるだけ平らな場所に置いて保管してください。残った灯油が漏れたりするリスクを減らす為です。
定期的にすべきこと
- フィルター掃除
背面に付いている空気取り入れ口のフィルターは定期的に掃除する必要があります。
ホコリが溜まると必要な空気が上手く供給されず、燃焼不良を起こしてしまいます。週に1回程度の目安で掃除することをおすすめします。
石油ファンヒーターを快適に使う為にも、これらのことには十分に注意することをおすすめします。
ここで紹介した使用上の注意ポイントは、下記のページで詳細を解説しています。石油ファンヒーターを少しでも長く安全に使っていきたいと思う人は参考にしてください。
まとめ
石油ファンヒーターは、正しく使えば省エネで節約にも繋がる優秀な暖房器具です。
灯油を使用することに億劫になる気持ちも分かりますが、一度使うと暖房能力の高さだけでなく、メリットの多さに離れられなくなる人も。
暖房器具で何を使おうか悩んでいる人や石油ファンヒーターが気になっている人は、この記事を参考にしてみてください。